竹内 修 氏 竹内 修 氏

─ 相続支援を始めたきっかけ

 今考えれば相続支援業務への取り組みは、必然的な意味があったと思います。9000戸ほどの管理があって、500名くらいのオーナーさんがおり、長い方だと30年近くお付き合いがあるので相続は避けて通れない話です。
相続支援は決して新しいことではなく、以前から行っていたのですが、対応できる人間はごく一部しかいませんでした。勉強していけば必ず会社にとってメリットになると思っていました。そんな時、日管協で相続支援コンサルタント講習が始まったので勉強していくには良いきっかけになりました。
 オーナー担当が修繕請求から家賃交渉から建て替えの提案をするわけで、オーナーさんからすると弊社の窓口となります。この担当が相続の知識があれば、当然話は広がりますし、結果にもつながっていきます。やはり、オーナーさんとのお付き合いをしていく中で相続は重要なキーワードの一つだと思います。


─ 資産の組み替えを軸に

 弊社はアパートを建てて、それをサブリースしているので、建築事業と賃貸事業があります。近年、立地による不動産の二極化が進む中で、築年数が経過し、収益性の落ちた物件に関しては、オーナーさんに資産の組み替えを積極的に提案しています。資産の組み替えをするに当たって、相続がきっかけになることもあります。今までは相続となると税理士に話が行っていたので、多分チャンスロスしていたこともあったかと思います。
 今はそのチャンスロスは、知識を得ることで、自分たちの仕事につなげることができていますし、相続支援を行うことからつながった一つの大きな成果だと思います。
 弊社には多数の相続支援コンサルタントがいますが、多くの社員が相続の相談にのれることは会社全体として底上げにもなりますし、信頼感アップにもつながります。

 自分たちでセミナーを開催し、講師は弊社社員が行います。相続のテーマは旬ですから、しっかりと情報発信をして、オーナーさんに相続に対して考えるきっかけを作っていただけるようにしています。これをきっかけに個別の相談が来て、いろいろな提案につながっていきます。
 物件が古くなってきて、自分は今元気だけど、将来子供たちにどういうふうにこの財産を残していこうかと考えるオーナーさんは増えていますが、大半が具体的にどうすれば良いか分からないのが現状です。そうしたオーナーさんに弊社ができることを提案しています。進行形の案件では、今自分が元気なうちにアパートを建て替える道筋をつけておいて、それを子供たちにこのように分けましょうと提案しています。
 また最近は、物件の売却が増えてきています。つい先日も去年相続が発生して、ちょっと揉めているので相談したいというお問い合せがありました。相続ということでもそれぞれで内容が違いますから、相談を受けるということは、簡単なことではありません。どこまでできるか悩むことも多いですが、しっかりと専門家とも連携を取ってオーナーさんにとっての最善策を提案できるよう日々努力しています。


─ 勉強だけで終わってはいけない

 講習で知識を得て、資格を取って、それで満足してはだめです。具体的な事例に接しないと意味がありません。
具体的な相談が来れば、ひとつひとつが違うので、調べたり、専門家に聞きながら進めます。そうするとその知識がさらに肉付けされていきます。社員も相続支援コンサルタントの肩書を名刺に入れることによって、オーナーさんから認知されますし、責任感や緊張感も出ます。
確実に相続の相談は増え、社員自身もこれを利用して、自分たちでセミナーを組み立ててみようとか、セミナーにお客さんを連れて行こうとか、そういう意識が確実に高まっています。この知識をさらに実務につなげていく、更なる仕掛けは必要だと思います。

 相続支援コンサルタントを増やすことで、相続対策をやっている会社という認識をオーナーさんに持っていただき、オーナーさんが相談しやすい場とか、そういう認知を上げる、相談件数を増やして、お役に立っていけば、この資格は活きてくるんだろうと思います。少しずつできているという実感もあります。
 将来的には専門部署を作って組織的にできれば良いですが、現時点では個人個人のスキルだと思います。今後は新規のオーナーさんを集めていきたいと考えています。時間はかかりますが継続して情報発信をしていくことが大事です。

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